さて、市立病院から介護施設に転職したわけですが、今回は介護施設で2年間働いてみて感じたことをまとめました。
まず、なぜ介護施設に転職したのかというところですが、
家からからとても近かったからです。
別に病院でもクリニックでもよかったのですが、ただ単に通勤に時間をかけたくなかったので家から車で5分の特別養護老人ホームにきめました。
ただ、家から近いというだけでブラックな所はさすがに嫌だったので、事前にHPを見たり見学をさせてもらってから決めました。
できてから2年ほどしかたっていない施設だったので建物はすごくキレイでした。
病院勤務の経験しかなかったので、介護施設の印象としてはのんびりしていて楽なのかなあと思っていました。簡単な処置をしたり食事介助で一日が終わるんだろうなあ等と考えていました。
しかし現実は大きく違いました。
まず、入居者さんは100名いて、それ以外にもショートステイやデイサービスの人を合わせると130名いるのですが看護師は3~4人/日で、少ないときは2人の看護師で回していました。
初めの難関は入居者さんの顔と名前を覚えることです。病院はリストバンドがありますが施設の入居者様はそのようなものはないので介護士さんにひとりひとり名前を聞いて覚えました。
介護士の方々も超過密なスケジュールで動いており、なかなかつかまりません。
毎回、忙しいところ申し訳ないと思いながら○○さんはどちらの方ですか?と聞いて回っていました。
3ヶ月もするとほとんど名前と顔を覚えることができましたが、次の難関がまっていました。
それは急変対応です。
医者は常駐していないので、週に1回の往診以外は電話で医師に報告し指示をもらったりのやりとりをするのですが、これが大変でした。
的確に症状や状態を伝えなければならないのでフィジカルアセスメント能力がかなり必要でした。医師が直接診察できないのでいわば医師の代わりに診察し報告しなければならないのです。
たとえば腹痛を訴えている利用者さんがいるとします。
病院でしたら簡単に症状やバイタルを伝えて、診察お願いします等と報告しますが、
施設の場合はかなり詳細に報告しなければなりません。
腹痛の部位、腹部の張りや圧痛の有無、超蠕動音の様子、嘔気嘔吐の有無、最終排便の時間、食事摂取量、活気の有無、既往歴、飲んでいる内服薬、などなど・・・
医師はたくさんの患者さんを抱えているので既往歴や内服薬など把握しておらず、その都度伝える必要があります。
点滴の指示が出そうだな、とあらかじめ予想された場合には手足の血管を確認し点滴が入りそうかみてから、電話するときもあります。
また、食べ過ぎによる嘔吐やこもり熱による発熱など、経過観察で改善が見込めるような場合には医師に連絡せず様子観察するときもあります。
往診医も普段は総合病院で勤務しており、他にもいくつもの施設の往診医をしているため忙しく、必要性の感じられる時しか基本的に電話しません。
急変度が高く、往診医に連絡する前に救急車を呼んだ方が良いときもあります。
それも看護師の判断にゆだねられます。
要介護の高齢者が100名以上いますので、急変したり、体調が悪化したり、転んでケガをしたり、毎日なにかしら起こります。
薬のセットや軟膏処置やバイタル測定その他もろもろのルーティーン業務をこなしながら、上記のような様々な出来事に、少ない看護師で対応しなければなりません。
受診が必要になったときには受診の付き添いをしなくてはなりません。
また、点滴や酸素の管理もありますし、看取りの入居者さんの対応などもあります。
ご家族対応も病院とは違い、濃厚にあるので、ここでは語りきれない様々な大変さがあります。
私は病院よりも介護施設のほうが格段に看護師への責任が重いと感じました。
施設って病院よりもゆったりしていて楽そう~などど思っていた以前の私に大声で喝をいれてやりたいです。それくらい大変です。
しかし、大変でしたがかなり勉強にもなりました。実際に働いてみないと分からないことが多かったです。
介護士の方々の仕事に取り組む姿勢に学ぶことも多くありました。肉体的にも精神的にも辛いことがたくさんありますが、いつでも優しく入居者さんと接していました。
また、勉強熱心で疾患の事や薬の事もたくさん質問がありましたし、入居者さんの少しの体調変化にすぐに気がついてくれていました。
介護と看護の隔たりで上手くいかない施設もあると聞きますが、お互い尊重し意見を出し合えば素晴らしい環境になるとおもいました。
以上、介護施設で働いてみて感じたことを書きましたが、本当はまだまだ書き切れないことがたくさんあります。やりがいのある職場なので一度働いてみたい方にはオススメです。
楽しいと思います。私は大変な事ばっかり上に書きましたが、結構楽しかったです。
介護の現場でしか体験できないことたくさんあると思います。
では。